補助金申請で重要な「賃上げ要件」とは?
2026.11.05 / 基本要件
近年、国の補助金制度では、設備投資による生産性向上だけでなく、その成果を従業員の賃金引上げにつなげることが強く求められています。
例えば、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」「中小企業省力化投資補助金(一般型)」「中小企業成長加速化補助金」などでは、
賃上げに関する目標や計画が重要な要件となっています。
補助事業終了後も一定期間にわたって目標の達成状況が確認され、未達成の場合には補助金の返還が求められる可能性があるためです。
今回は、補助金申請における賃上げ要件のポイントと、ArrowS株式会社が実施している事業計画策定のサポートについてご紹介します。
■ 近年の補助金で重視される「1人当たり給与支給総額」
近年の補助金制度では、賃上げ目標を設定する際に「従業員1人当たり給与支給総額の年平均成長率」を用いるケースが増えています。
これは、企業全体の給与支給総額だけでなく、従業員1人当たりの給与水準がどの程度上昇するかを確認する指標です。
ただし、実際の補助金申請では、従業員数の増減や給与体系の変更なども考慮し、
各制度で定められた算定方法に従って目標を設定する必要があります。
■ 新たに重視される「足下の賃上げ」とは?
さらに、直近の補助金制度では、補助事業終了後の賃上げだけでなく、
応募申請時点から補助事業完了までの期間における賃上げ計画も重視されるようになっています。
これが、いわゆる「足下の賃上げ」です。
足下の賃上げでは、物価上昇を踏まえ、従業員の給与水準を引き上げることが求められます。
例えば、物価上昇率を踏まえた一定以上の賃上げ目標を設定し、
補助事業が完了するまでに達成する計画が必要となる制度があります。
つまり、企業は設備投資による将来の生産性向上だけでなく、
設備投資の実施期間中においても、従業員への賃金還元を計画的に進めることが求められています。
なお、足下の賃上げの対象期間、目標値などは補助金の種類や公募回によって異なります。
■ 事業場内最低賃金にも注意が必要
賃上げ要件では、給与支給総額だけでなく「事業場内最低賃金」も重要な確認項目です。
事業場内最低賃金とは、事業所で働く従業員に適用される賃金のうち、最も低い時間給のことです。
補助金によっては、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より一定額以上高く設定し、
その水準を維持または引き上げることが求められます。
例えば、地域別最低賃金が引き上げられた場合、事業場内最低賃金についても見直しが必要となります。
そのため、申請時点の賃金だけでなく、今後の最低賃金の改定も考慮した計画づくりが重要です。
■ 賃上げ要件を達成できないと補助金返還の可能性も
賃上げ計画を立てるうえで、特に注意したいのが補助金の返還リスクです。
補助金の種類によっては、補助事業終了後3年間~5年間など、
一定期間にわたり給与支給総額や事業場内最低賃金の達成状況を報告する必要があります。
そして、定められた賃上げ目標を達成できなかった場合には、
補助金の一部または全額の返還が求められる可能性があります。
返還の有無や金額、免除条件などは制度ごとに異なりますが、
重要なのは、申請時に設定した賃上げ目標が、採択後も企業の経営に影響するという点です。
採択を目指すあまり、実現が難しい高い目標を設定してしまうと、将来的に大きな負担となる可能性があります。
だからこそ、賃上げ計画は慎重に検討する必要があります。
■ ArrowSでは財務分析とシミュレーションに基づく賃上げ計画を策定
ArrowS株式会社では、賃上げ要件を単なる申請書類上の数値とは考えていません。
企業の将来の経営に関わる重要な計画だからこそ、実現可能性を重視した目標設定を行っています。
まず、お客様から直近の決算書だけでなく、過去数年分の財務書類などをご提供いただき、
売上高、利益、付加価値額、人件費などの推移を詳しく分析します。
さらに経営者やご担当者へのヒアリングを重ね、今後の事業展開、設備投資の効果、採用計画、給与体系などを確認します。
そのうえで、将来の売上・利益・給与支給総額などのシミュレーションを行い、
補助金の要件を満たしながら、企業にとって無理のない賃上げ目標を検討します。
例えば、従業員数が増加した場合、利益が計画を下回った場合、最低賃金がさらに上昇した場合など、
複数のケースを想定することも重要です。
こうした分析を通じて、「審査で評価される計画」と「採択後に実行できる計画」の両立を目指します。
■ 採択されることだけを目的としない、将来を見据えた補助金支援
補助金の申請では、より高い賃上げ目標を設定することで、加点や補助上限額の引上げなどにつながる場合があります。
しかし、高い目標を設定することが、必ずしも企業にとって最善とは限りません。
ArrowSが大切にしているのは、お客様の経営状況に合った達成可能性と審査上の評価を両立できる最適な計画を一緒に考えることです。
設備投資によってどの程度の生産性向上が期待できるのか。
その成果をどの程度、従業員の給与に還元できるのか。
そして、事業環境が変化した場合にも、継続して取り組める計画となっているのか。
こうした点を丁寧に検証しながら、事業者の皆さまと一緒に事業計画を作り上げていきます。
■ まとめ|賃上げ要件は補助金申請前の計画づくりが重要!
近年の補助金制度では、賃上げ要件の重要性がますます高まっています。
特に、1人当たり給与支給総額の年平均成長率、足下の賃上げ、事業場内最低賃金など、複数の要件を正しく理解し、計画に反映することが必要です。
また、採択後の報告義務や補助金返還のリスクも考慮しなければなりません。
ArrowS株式会社では、豊富な補助金申請支援実績と財務分析のノウハウを活かし、
お客様の経営状況に合わせた事業計画の策定をサポートしています。
「採択されるための計画」だけでなく、「採択後も安心して実行できる計画」を。
これがArrowSの補助金支援に対する考え方です。